Choco Chip Rabbitry
バッティングと抜歯について
品種を問わず(純血種に限らず)うさぎの成長期にしばしば見られる前歯の状態を指します。不正咬合と混同されているケースを見受けますが、正確には別物です。
お顔、特に顎の成長期、一時的に上顎と下顎の成長に差が生じる事によって(下顎が先に前に成長してしまい)上下の歯が綺麗に当たるまたは逆にかみ合う(受け口)という状態になります。不正咬合とは違い成長過程の一時的なアンバランのため、バッティングのほとんどは通常、時期がくれば正常に戻ります。
大半のうさぎは、生後直後から生後30-45日程度までの間に、バッティングもしくはそれに限りなく近い切歯の状態を経験しながら成長し正常に戻りますが、稀に生後45日前後以降からバッティングする遅発性の子もおります。また、さらに稀にバッティングが正常に戻らない子がいます。(約200頭中に3頭:2021年6月現在の当ラビトリー)
当ラビトリーにおいても、時々バッティングが見受けられますが、ほとんど全ての子が正常に戻っております。その後の経過も出来る限り追跡しておりますが、再発などは確認しておりません。
バッティングと先天性不正咬合の違いは、その発生時期(先天性不正咬合は、生後3ヶ月~6ヶ月頃より症状が確認されることが多いようです)と、歯の質や伸び方に感じます。
ブリーダーとして、出来る限りバッティングを発生させないため、幼少期にバッティングを発見した子はブリードに使わないという努力を常にしておりますが、完全に防ぐことは非常に難しいです。それは、世界的に見てもバッティングは成長過程の一過性のものであり正常に戻った場合は何ら問題無いという認識でブリードされているからです。日本では、幼齢での生体販売が主体であることと、日本人特有の細かさもあり、日本人ブリーダーのごく限られた人だけがバッティングを減らすことを努力しているのみです。
お譲りを決める生後4週間目の段階で、このバッティングについてはしっかりと確認しているのですがまれに、4週間目以降からバッティングに移行する遅発性の子がおります。その場合には、大変申し訳ありませんがお迎えの時期を延期させて頂くことになります。当ラビトリーでは、生後2ヶ月~4ヶ月の間にほとんどのケースが正常に戻りますが万が一のことを考慮し、歯並びが100%正常に戻ったことを確認してからのお引渡しとさせて頂きます。
バッティングが発生した場合、生後満3ヶ月(90日)までお待ち頂いても正常に戻らない場合は、キャンセルまたは抜歯の上でお迎え頂くかのどちらかをご選択頂きます。この場合のキャンセルに、キャンセル料金は発生いたしません。お預かりしているご予約金は、速やかにご返金させて頂きます。
バッティングが正常に戻らなかった場合につきましては、当ラビトリーでは例外なく切歯の抜歯を選択しております。
①上手く嚙み合わず切歯が過伸長してしまうことによるトラブルを無くす。
過伸長した切歯が邪魔することにより、ペレット、牧草が食べにくくなる食糞が出来なくなる他、舌の動きが制限されるため毛繕いすら難しくなりうさぎにとって非常にストレスとなります。
②飼い主さんの金銭的負担
数週間~1ヶ月程度おきに、切歯のカットや研磨が必要となり通院処置を生涯続けなければなりません。
③うさぎ自身への負担
上記の通り、数週間~1ヶ月程度おきに保定され、カットや研磨されることのストレスが一生涯続きます。
切歯の抜歯をすることにより、上記の問題が全て解決されます。うさぎにとって切歯は一見必要不可欠な物と思われがちですが、ペットとして暮らすうさぎにとっては、安定的に簡単に食べられる給餌があり必ずしも切歯が必要な生活様式ではありません。過伸長によって邪魔し、ストレスを与える切歯がある事の方がずっと日常生活にとってデメリットでしかありません。
切歯が無くなることによるデメリットは、見た目の問題と通常切歯がある子と比べると舌を出す(ペロっと舐める)仕草が多少多いというくらいです。逆に切歯が無い事により、万が一噛みつかれたとしても怪我をすることはなく、また物を齧られて困るといった問題も無くなります。うさぎは、切歯が無くなっても流延することもありません。
当然、抜歯のために麻酔をかけるため、そのリスクはありますが、麻酔によるトラブル(ショック死)は非常に稀であり、1度や2度程度の麻酔がその後の寿命等に大きな影響があるとは、過去感じたことは一切ありません。
また、抜歯後の予後ですが、当ラビトリーの子や他ラビトリーで抜歯された子の経過も教えて頂いていますが、臼歯等に対する悪影響も無く、切歯のある子達と全く違わない生活を送っていることを確認しております。
海外においても、切歯のみにトラブルのある子は抜歯を選択されることが多いようですが、日本ではこの抜歯を確実かつ安全に行える獣医師が圧倒的に少ないようです。一生涯伸び続ける「常生歯」を持つうさぎの抜歯は、歯根から確実に抜かなければなりませんが、これには経験や技術が必要です。現在、私自身もこの抜歯を絶対的信頼を持って御願い出来る獣医師を2名しか知りません。(お二人とも関東圏の獣医師です)
当ラビトリーのうさぎは、骨格体格ともに非常に恵まれており、概ね生後4ヶ月程度から麻酔を伴う処置が可能です。抜歯の後は、問題なくペレットや牧草が食べられるかなどの確認をさせて頂き、約1週間後にはお迎え頂けます。
「うさぎ」という生き物の特性上、このような問題は一定の割合で必ず発生します。仮に、何も問題無くお引渡し出来た子であっても、その後に病気になることもあれば、不慮の事故もありますので、生き物を飼うということに対してご理解頂ける方とのご縁を切に願っております。生き物に対してロボットやぬいぐるみのような完璧さを求める方はご遠慮下さい。